まだまだ知らないことがある
先日、ある化粧品メーカー様より、ドラム缶を工場内で自動搬送するキャスター付き台車のご依頼を受けたのですが、既存の台車はステンレス製で、一人ではとても持ち上げられないほど、重量がありました。当然、価格も・・・。
そこで我々がアルミ製でご提案したわけですが、載せる重量に合わせて、フレームサイズを決めて、耐荷重に合わせてキャスターも選定しました。我々の新たな提案によって、既存のステンレス製よりも(おそらく)半値以下でご提案できたはずでしたが、先方はこだわりのキャスターをどうしても付けてほしいとおっしゃります。
その名も“オムニキャスター”。韓国のキャスターかと思いきや、“多目的”という意味らしく、その名の通り、多目的に異次元な動きを見せるキャスターです。
社員一同「なんじゃこりゃ?!」と目を丸くさせました。かくいう私も、初めて見るキャスターで、お値段も1個2万円以上する代物です。4個付けますからそれだけで・・・。
尚且つ、安全にスムーズに動く事が目的ですから、キャスターを取り付けるプレートは30mm厚にしてほしいというご要望がありました。耐荷重で考えても、そこまでの強度は必要ないとご提案したのですが、使用上、どうしてもその高さが必要ということで、過剰スペックとは思いつつも、ご安心いただくことも1つのニーズであると解釈し、少々お値段が上がる提案となってしまいましたが、ご納得いただける仕様としました。
ちなみに我々のポリシーは、最小の予算で最大の効果を出す提案をすることです。
できるだけオーバースペックにならないようにしています。売上だけを考えれば、スペックが高い=高額な方が良いかもしれませんが、お客様目線で考えた時に、自分なら最小の予算で効果の出る提案をしてほしいと思うからです。しかし今回は、少々高額になることは、良しとしましょう。
この特殊キャスター台車は、工場の自動化に有効な仕様です。
今後、ますます進むであろう自動化に向けて、別の企業様から相談を受けた際、「そういう事でしたら、オムニキャスター台車などいかがですか?!」とご提案できる知識が増えました。
業界を選ばず、やったことが無いからわからないと言わず、知らないことは聞きながら、何にでも興味をもって疑問をぶつけ、探求心をもってすれば知識はどんどん増えます。
我々は業界を問わず、様々なニーズに対応してきました。そうした日々の取り組みのおかげで、視野も広がりましたし、柔軟な発想力も付いてきました。
過去にも、看板業界で当たり前に使われている“アルミ複合板”という看板の面材を、クリーンルームの壁面に使ったことで、簡単に組み立てられる“簡易クリーンルーム構造”を開発することができました。
包装資材業界で当たり前に使われている“プラスチック段ボール”を物流ボックスの面板に転用して、食品やメディアカル業界に持って行った時も「何これっ?!見たことないっ」と驚かれたものです。
自分の居る業界では当たり前の物も、別の業界にとってカルチャーショックになる。
これも1つの創意工夫です。
それにしても、日々、オーダー対応し続けて22年。まだまだ知らないことは多いです。
業界が変われば、なおのことです。これだからモノづくりはやめられません。
知識を増やしていくことは、一生をかけてやっていく価値があります。
その成長のチャンスをくれるのは、企業の外です。企業の目的は常に外にしかないことを肝に銘じて、社員一同、好奇心をもって取り組める会社でありたいと思います。
経験の多さで知ったような顔をせず、まだまだ知らないことが多いという謙虚さを常に持ち続けること。これが人生を豊かにすると、改めて思わせてもらいました。
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